ぼくらはみんな生きていく

医療的ケアの力を借りてご機嫌に生きる、重症心身障害児の娘の闘病記録や日々の暮らし、医療や福祉など母の頭の中のあれこれを書くブログ

こどもの脳死判定と臓器提供

先日、6歳未満のこどもが臓器移植法に基づく脳死と判定され、臓器提供の手続きが行われるというニュースがありました。

6歳未満のこどもからの臓器提供は国内で12例目だそうです。
 1例目のニュースがあったのは2012年6月。

あの時からずっと、胸がざわざわしたままなのです。

 こどもの脳死判定と臓器提供 

2010年7月17日に臓器移植法改正案が施行され,わが国においても本人同意がなくとも,家族同意にて臓器提供が可能となり,15歳未満の子どもからの臓器提供が行えるようになった.

(中略)

ドナーが6歳未満の場合,脳死を確定することに様々な議論があり,6歳以上の基準とは異なって,2回の法的脳死判定における間隔を6時間ではなく,4倍の24時間以上あけて行わなければならないなど,いくつか厳しい条件がある2).また幼い子どもを喪失するという家族の心情,小さなドナー管理の難しさなどから法改正後もなかなか提供事例は現れなかった.しかし,法改正後2年が経とうとしていた2012年6月に,6歳未満における国内第一例目の臓器提供が行われた

 引用元:日本小児循環器学会雑誌 こどもの臓器提供の現状と小児科医の役割

Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery 33(2): 91-99 (2017)

 

2012年の6月。

日本国内で初めて、6歳未満の幼い子どもの脳死判定による臓器提供が行われました。

当時のニュースでは、自分の息子さんの臓器を提供する決意をされたご両親のコメントなども報道され、幼児の脳死判定と臓器移植について肯定的な空気を感じたことを覚えています。

 

臓器提供を受け、助かるいのちがあることは喜ばしい事です。

決断をされたご家族も、悩みぬいて決断されたことと思います。

その苦悩は計り知れません。

 

臓器を提供する側とされる側、それから、臓器提供を選ばなかった子とそのご家族にも、思いを寄せてもらえないでしょうか?

長期脳死と呼ばれる状態のこどもを知っていますか?

脳死の診断の後、一般的には数日で心臓も停止すると言われていますが、数か月たっても、数年たっても心臓が止まらないことがあり、長期脳死といいます。

小児に多いとされていて、実際に今も、今日も、一日を生きた長期脳死の子がどこかの街に、いるのです。

脳死移植に同意をして、臓器提供の決断される家族の一方で、長期脳死といわれる状態の子供さんと生きていく決断をされる家族がいる。

愛しい我が子、触れれば温かくて、確かに脈打つ心臓。

目の前にいる我が子と一緒に生きていきたいと願うことは、何も間違ってなどいません。

 

臓器提供を選んだ家族の気持ちも、臓器提供を選ばない、選べない家族の気持ちも、どちらの決断も等しく大切に尊重され、守られるべきだと思うのです。

大切なのは何にも強制されず、きちんと選択できることだと。 

我が子のいのち

めいが急変した時の事です。

めいの心肺停止時間は10分。その後のMRI検査によれば、脳幹以外で残っているのは小脳のほんの一部分だけということでした。

呼吸器に繋がれ意識もないめいを前に、こんなに苦しめて、重い障害をおってまで生きるよりあの時いいっそ助からない方が良かったんじゃないか…何度も考えました。

 

けれど、やっぱり側にいてほしいと、生きていてくれればそれだけでいいという思いの方が日に日に強くなり、今もそれは変わらず、目の前にしっかりと、めいの命は存在しています。

 

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不安になると手をにぎります。生きている。

 ふと思うのです。もしもあの時、もしほんのあと一歩蘇生が遅れて、脳死と判定を受ける状態になっていたら?

臓器提供を勧められたら?

 

誰も、決して他人事なんかじゃない。

様々な死生観、倫理観や宗教観などある中で、線引きのしようのない問題に線を引くことは難しいことです。

こどもの脳死移植の可否そのものについて正解などないのだと思います。

おわりに

臓器移植でしか生きる道がなく、海外へ渡ってでも移植を希望する子の親。

 脳死判定を受け、愛しい我が子の臓器提供を苦しみぬいて決断した親。

 臓器提供を選ばず脳死判定を受けた我が子を見守り育てていく親。

 

親はただただ、我が子を愛しく思い、目の前の命に対して誠実にむきあっているだけです。

どうか、どの決断をした親御さんも、こども達も。

誰にも傷つけられることがありませんように。