前回胃ろう抜去について色々書きました。
前回記事はこちら↓
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めいが胃ろうにしたのは3歳になる少し前です。
もう長い付き合いでめいが元気に過ごすための心強い相棒のひとつ。
今回は、胃ろう手術の事を書きのこしておこうと思います。
胃ろう(PEG)と噴門形成(Nissen)手術を受けるまで
胃ろう(PEG)とは?
内視鏡を使って「おなかに小さな口」を造る手術のことです。 (PEG=Percutaneous Endoscopic Gastrostomy : 経皮内視鏡的胃瘻造設術)
造られたおなかの口を「胃瘻(胃ろう)」と言い、取り付けられた器具を「胃ろうカテーテル」と言います。(カテーテル=管、チューブ)
口から食事のとれない方や、食べてもむせ込んで肺炎などを起こしやすい方に、直接胃に栄養を入れる栄養投与の方法です。
胃ろうは、欧米で多く用いられている長期栄養管理法で、鼻からのチューブなどに比べ、患者さんの苦痛や介護者の負担が少なく、喉などにチューブがないため、お口から食べるリハビリや言語訓練が行いやすいというメリットがあります。
引用元:胃ろう(PEG)とは?|胃ろう入門|NPO法人PDN
当時は在宅生活に移行して療育にも通い始めていましたが、登園は安定していませんでした。体調は相変わらず落ち着かず1日何度も嘔吐を繰り返し、緑色の胆汁や血を吐く事も。
そんな状態が続き、入院。
胃食道逆流があったために胃には注入できず、EDチューブ(鼻から腸まで入れる栄養チューブ)で経腸栄養だったので、ダンピング症候群も疑われましたが血糖にも異常はなく、なぜ嘔吐が続くのかはわかりませんでした。
注入ペースをとことん落とし、24時間持続注入にしても栄養剤を変えても、何をしても嘔吐は止まらず、ぐったり顔色も表情も悪くかわいそうな状態が続きました。
そんな時、先生から胃ろうと噴門形成の手術の話が出ました。
胃の一部を噴門(胃の入り口)にぐるりと巻き付けて逆流しない胃の形をつくる噴門形成(Nissen)の手術で逆流している胃の方を何とかして、胃ろうから栄養注入をできるようにしよう、という事でした。
先生から手術してあげた方がいい、とはっきり言われ、お願いすることにしました。
しばらくして、他の病院へ転院し手術しました。
手術は内視鏡での胃ろう造設と噴門形成併せて、9時間予定のところが11時間掛かりました。(手術ってだいたい延びるし進捗報告もないから待つ時間気が気じゃない…)
元々呼吸状態もそう安定していない事もあり術後、全身麻酔を切り呼吸器離を脱した後に呼吸状態が落ち着かず、ちょっと危なかったのです…ハラハラさせられました…
が、頑張ってくれた甲斐はありました。
手術後
手術後、一旦嘔吐が再発したものの、栄養剤を寒天で固めて注入し解決。
(数年間、栄養剤を寒天で固める日々でしたが、いつの間にか固めなくても大丈夫になりました。このへん記憶が曖昧…なんでやったかな…)
それまでの不調が嘘のようにめいは元気になって大好きな療育への登園も積み重ねていけるようになりました。
一日中注入で時間を取られていたのに、一日3回の栄養摂取も水分摂取も、シリンジでゆっくり注入すればすぐに終わるようになりました。
経口摂取も進めやすくなり、現在は経口摂取と栄養剤注入のいいとこどりをしつつ生活しています。調子がよければペースト食は完食、食べ残したら胃ろうから注入しています。
安定的な栄養摂取や水分摂取は体調の安定に繋がります。本人が楽に過ごしていける事が何より大事だと、この時身にしみて感じました。
そして介護者である家族の負担が大きく軽減されることにも大きな意味があることも実感しました。
それまで考えられなかった、シリンジで栄養をショット注入ができるようになったことで大幅な時間短縮、注入回数の削減、手間の軽減、生活がガラリと変わったのです。
移動時など必要な時には従来通りボトルで滴下注入してもいいわけです。栄養摂取の方法や内容を必要に応じて選択できることは私達にはとても大きなことでした。
まとめ
(個人的な感想ですが)
胃ろうのメリット
- チューブによる分泌物の減少
- チューブに比べると誤って抜けにくい
- チューブを挿入による不快感がなくなる
- 栄養摂取の安定
- ペースト状であれば大抵のものを注入できる
- 注入時間の短縮(生活時間の組み立てがしやすくなる)
- 摂食、嚥下訓練が進めやすい
- 介護者の負担が軽減される
- 必要なくなった時には閉じられる(噴門形成を併せて行っている場合は不可)
- 鼻チューブが抜けて、見た目がスッキリかわいいお顔!
- ピタッと熱を出さなくなった
胃ろうのデメリット
- 滅多なことでは抜けないが抜けた場合は、あながふさがる前に入れ直す必要がある。
- 傷口膿んだり肉芽ができたり、管理が大変な場合も(うちの場合は順調でした)
- チューブよりも抜けにくい分、事故・自己抜去のダメージがある。術後しばらく孔が安定するまでは、抜去にかなり注意。
おわりに
できれば経験したくなかった自己抜去も経験してしまいましたが、やっぱり胃ろうはめいの生活に欠かせないものです。手術してよかった!
心地よく生きるための医療的ケア、今後もよろしくやっていこうと思います。