ぼくらはみんな生きていく

医療的ケア児の娘のこと。医療、福祉、母の頭の中のあれこれを書くブログ。

なんでもない1日のこと

心を動かされることが多くて感情が忙しいこの頃です。

 

歳と共に涙もろくなったり、逆にびくともしないほど強く図太くなった部分があったり、ちょっと歳を取るのが面白くなってきました。

まぁ抗えない肉体の衰えは加齢プラス疲労のせいで加速度的に進み、そっちはなんとかしなきゃ…って、今からこんなこと言ってちゃいかんなもうほんとに…リングフィットがんばろう…

 

…話があっちこっちいくのも歳と共に加速するのでしょうか。

ともかく。

 

心が動いたあの日の話を。

 

Sちゃんのこと

先日私がやっているバンドムジグルで、とある入所施設内の子供が通う施設内学級へ演奏をしに行ってきました。

 

ムジグルについてはこちら↓

ameblo.jp

 

その学級に通うふたりの子供からムジグルあてに「あいにきて」とかわいいお手紙をもらい、うきうきで行ってきました。この子達にはもう何回か会いに行っていて、私たちはすっかりお友達気分。

 

1年ぶりの訪問でした。

教室の入り口に着くと掲示板に学級通信が貼ってあり、そこには見慣れたふたりと、もうひとり見慣れない女の子の写真がありました。

あ、今年度は新しいお友達が増えたんだなぁと、3人に会うのを楽しみに教室に入りました。

 

二人に久しぶりやね!なんかお兄さんになったんちゃうか!?と挨拶をして、教室を見渡しても女の子の姿がなく、先生に入り口の掲示板に写真のあった女の子は?と聞いてみると、

「今年の9月に頑張りぬいて、亡くなったんです。」

と先生。

小学校1年生の、かわいらしい女の子でした。

 

教室にはその女の子の大きな写真と名前が今も貼られていて、窓際には季節外れの風鈴が吊るしてありました。

先生が

「Sちゃんがその窓からひょっこり入って来て鳴らしてくれないかなって。入り口はここだよって吊るしてるんです。」

と微笑んで言いました。

 

その入所施設には高齢の方から幼い子供まで、様々な年齢の重症心身障害を持つ人が一緒に暮らしています。

幼い頃から親元を離れ施設に入所する子もいます。親御さんの事情、ご家庭の事情、いろいろな理由があるのだと思います。

 

7年の短い命を生き切ったSちゃんは、幸せな時間を過ごせただろうか。

先生と友達と過ごした学級での時間、施設で職員さん達と過ごした時間が幸せだったなら、いいな。

会って、手を握って、お話ししてみたかったよ。歌を、演奏を聞いてもらいたかったよ、Sちゃん。

 

重い障害や病気を抱えて生きることは大仕事で、目の前の1日1日をヨイショ、と積み重ねて月日が過ぎていきます。

本人達はまったく無自覚に、私たち周りの大人の心を揺さぶってきます。

命が尽きたその後も。

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 大人になれない子供達

そしてその日の夜。

訪問入浴中にスタッフさんが母国フィリピンのお話を聞かせてくれました。

 

Sちゃんのこと。

フィリピンにいる子達のこと。

今までに見送った、あの子達。

 

今、生きていることも、たくさんのものに守られていることも、大人になることも、全然当たり前じゃなくて、奇跡みたいなことだとわかっているつもりでわかっていなかった気がします。

 

この日はなんだか胸がいっぱいになって眠れなくて、ずっと1日のことを思い出していました。

 

心を動かされたこの日のことを忘れずに生きていきたいと思います。

きっと大人になろうね、とめいの手をちゃんと握って、生きていきたいと思います。