今日は気管切開のお話。
めいは一年半前に気管切開の手術をうけました。
気管切開がどんなものか、ご存知ですか?
気管切開とは?
- 肺に空気を送ったり、痰を吸引しやすくするために気管に孔を開けることを気管切開といいます。
呼吸するとき、吸った空気は鼻やのどから気管を通って肺に送られます。呼吸がうまくいかなかったり、痰や分泌物がうまくはきだせずに苦しくなってしまうことがあります。こういう時に、気管切開をしてあげることで空気が肺に行き渡りやすくなり、痰も吸引しやすくなるのです。
めいの気管切開は声門閉鎖という方法で行われました。
手術した当時まだ小児では珍しい手術だったようで、肢体不自由児の多く通うめいの病院においても二人目の患者でした。また手術を受けられる病院も少なかったため県外へ転院しての手術となりました。
声門閉鎖とは?
声門閉鎖術は、左右の声帯を縫合する手術です。誤嚥を完全に防止する手術のため、「誤嚥防止術」とも呼ばれます。
「誤嚥防止術」には、声門閉鎖術の他に喉頭全摘術、喉頭気管分離術などがあります。
声門閉鎖術は、これらの喉頭全摘術や喉頭気管分離術よりも体にかかる負担が少ないため、全身状態が良くない患者さんでも手術を行うことができます。
同じく誤嚥防止術である喉頭気管分離術との違いのひとつに、喉頭気管分離の気管切開孔がふつうの気管切開孔であるのに比べ、声門閉鎖による気管切開の孔は永久気管孔と呼ばれる閉じない孔である事が挙げられます。
閉じないので自発呼吸さえあれば気管カニューレが不要になることが多く、それがメリットの一つでもあるのですが、デメリットもありますので、実体験から感じた、声門閉鎖術のメリットとデメリットについて書いておこうと思います。
(めいは日中カニューレフリー、夜間はカニューレを挿入し呼吸器を使用しています。)
メリット
- 喉頭気管分離に比べ手が簡単で短時間で済み、体への負担も軽く退院までも早い
- 誤嚥性肺炎が防げる
- 唾液のたれこみによる痰の量を抑えられる
- 孔の位置が単純気管切開より上部になり、カニューレ挿入時の腕頭動脈の出血リスクが限りなく低い
- カニューレフリー(カニューレ刺激による痰、肉芽のリスク回避)
- 経口摂食の状況がよくなった
- 全身状態が一気に安定した
デメリット
- 元には戻せない(閉じられない)
- 声が出なくなる
- カニューレフリーによる気管の乾燥
- 空気の飲み込み量が増えた
- 入浴やプール時の水や嘔吐時の吐しゃ物がカニューレフリーの孔からたれこみ誤嚥するリスク
- 稀に孔が安定せず閉じていきカニューレを抜くことができずカニューレフリーにできない子がいる(実際にめいの後に手術した子でそういう子がいました。)
などなど。
個人的な経験談と感想ですが、手術にまったく後悔はなく、デメリットを上回るメリットで本当にやってよかったと感じています。が、術後に何よりも困ったこと、
カニューレフリーの情報が全然ない…
小児のカニューレフリーは先にも述べた通りまだ数が少ないのです。
生活についてまったく情報がなく、病院の先生や看護師さん、また大人のカニューレフリーの方を見たことのある訪問看護師さんなどと試行錯誤し、生活はだんだん落ち着いていきました。
めいの術後同じ病院で同じ手術を受ける子は増えてゆき、術後の生活について相談を受ける機会も多くあったため、これから増えてくるであろう小児のカニューレフリー仲間に、情報を残しておこうと思います。
次回、デメリットに対する対処法と、具体的に生活面について、まとめていきます。