めいの気管切開孔は永久気管孔というカニューレを入れない状態でも閉じない孔で、日中はカニューレフリーの生活をしています。
カニューレフリーの難点は、通常の気管切開と違い人工鼻を経由せず呼吸するため気管が乾燥しやすいことです。
そもそも、私達健常者は加湿やフィルター機能を持つ鼻を介して呼吸をすることで適度に加湿された空気を取り込んでいますが、首に穴をあけてそこから直で空気を吸い込む気管切開ではそれができないため、人工鼻というフィルターを必要とするわけです。
加湿用のスタイをつけてはいますが、めいの受けた声門閉鎖術でつくられる気管切開孔は通常の位置よりもかなり上のほうにあり、孔がスタイからはみだしていることもしばしば。はみだしちゃカッサカサだよ、カッサカサ…。
夜間呼吸器を装着しているため、夜間は十分に気管内の湿度が保てているめいですが、日中もよりよい加湿できればそれに越したことはありません。乾燥する、冬やし…
カニューレフリー生活での乾燥対策を考える
よりよい加湿を求めて色々考えてググっていたところ、たまたま、ある情報たどり着きました。
喉頭摘出者向けの、カニューレを入れずに使える人工鼻があるというのです。なんやって…!?
喉頭摘出者用人工鼻(HME)とは?
人工鼻(HME)は、永久気管孔からの吸気を加湿・ろ過することで痰や咳を減らす手助けをします。(中略)
永久気管孔から呼吸をすると、鼻から呼吸していた時に比べて、冷たく乾いた空気が直接肺に流れ込みます。これにより、肺は痰を産出し、気管が炎症をおこしたように感じます。咳が増え、永久気管孔の掃除をする回数も増え、日常生活に不便を感じるでしょう。
人工鼻(HME)を装着することで、こうした不便が解消されます。
喉頭摘出者に対する人工鼻(HME)の効果に関するアンケートをまとめた論文もありました↓
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjshns/28/3/28_259/_pdf/-char/ja
これを読むとなおのこと使ってみたい…!!加湿大事。
これ、めいに使えないのかな…?と思い、主治医の先生に聞いてみたところ、先生から業者さんに連絡をとってくださり、早速サンプルをいただくことができました
いただいたものはこんな感じ。
・人工鼻(写真左上)
フィルター性能、加湿性能の高い安静時用のもの
・人工鼻(写真右上)
フィルター性能、加湿性能ともに弱目のもの(その分こちらの方が呼吸はしやすい)
・接続用下地(写真左下)
粘着力弱め、取れやすいが肌に優しい
・接続用下地(写真右下)
粘着力強め、取れにくい分肌に負担
あとはリムーバー(テープを剥がす時に使うもの)と保護剤を。
使用感は?
まずは肌に優し目下地+呼吸のしやすい人工鼻で試してみました。
これを気切孔を中央の穴にあわせてぺたんと貼って
真ん中の丸い枠に人工鼻をキュッとはめ込みます。
(表)
(裏)
装着したところがこんな感じ。
すっきり…!
うつ伏せも問題なし、首を動かしても姿勢を変えても問題なく一日中ついていました。
最初にも書いた通り、めいの受けた手術、声門閉鎖術で造られた気管切開孔は位置が上に、顎への距離がかなり近いため、下地のシール部分が顎に干渉するかと思っていましたがシール部がかなりしなやかで問題なくフィットさせることができました。
一日過ごしてみたところ、いつもより痰が少なく、丸一日で2度気管切開孔のところに自然に出てきた痰ティッシュでぬぐっただけで、咳き込むことは一度もありませんでした。また、私の推測ではありますが、呼吸がしやすく喉が楽だからなのか、うまく唾液を飲み込むことができていて、口元のタオルがほとんど濡れず、普段より無駄な空気の飲み込みが少なくお腹の張りがかなり軽減できていたように思います。これは…呑気量にも影響するのでは…?
問題は今のところ自費になるかも、というところ…
下地が1枚850円程、人工鼻500円ほど…ヒィ…
どうも2020年9月に喉頭摘出患者さんへは保険適用となったようなので、めいのようなケースでも保険適用で使うことはできないか、今先生に確認してもらっているところです。
まだ小児ではレアなカニューレフリーですが、周りにも少しずつ同じ手術を受ける子が増えてきました。マイノリティは制度に乗るにも時間がかかりますが、とはいえ一歩ずつ。少しずつ。数が増えたら認知されて環境が整いやすくなることもあるはず。より暮らしやすくなるといいなぁと願いつつ。なにとぞ…!(拝む)
今のカニューレフリーの毎日の過ごし方やケアについてはこちら↓