ぼくらはみんな生きていく

医療的ケア児の娘のこと。医療、福祉、母の頭の中のあれこれを書くブログ。

出会いと別れの春。変わっていくものと変わらないものに思いを馳せる。

このところめいの体調がとても落ち着いていて、先週は久しぶりに休みなく学校へ通い、今日もまた元気に学校へ行った。すばらしい!

いつもの学校送迎も、元気だと担任の先生や学校看護師さんへの引き継ぎもスムーズで

「よろしくおねがいしまーす!」

と引き揚げる足取りも気分も軽い。

 

昇降口でスリッパを脱いで靴に履き替えようとすると、下駄箱の前に男の子が立っていたのでどいてもらおうと

「おはよー。そこの靴とってもいい?」

自分の靴を指差し声をかけると、その彼が靴を取ってくれた。

「わ!嬉しいわ!優しいなぁ、ありがとう!」

お礼を言って靴を履き替えると今度は脱いだスリッパを片付けてくれた。なんて至れりつくせり。優しいね、ありがとうもう毎日ここにいてほしいくらいやわ!とお礼を伝えて、またね、と挨拶して手を振った。

 

養護学校に毎日娘を送迎していると子供達にも先生達にも同じように送迎している保護者にも、たくさんの人に出会う。

毎朝の送迎はバタバタと慌ただしくて大変でもあるけど、先生や看護師さん達とついつい他愛のない話をしすぎたり、知ってる子にも知らない子にもすれ違う子達と挨拶を交わしたり、今日みたいにちょっと触れ合ったりする、この時間が結構好きだ。

そのうち、この時間がなくなるのかもしれないんだなぁ、と紳士な対応をしてくれた彼に手を振りながらふと、少し寂しいような気がした。

 

2月の末に、医療的ケアが必要でスクールバスでの通学ができない児童生徒に対して、訪問看護と移動支援事業所がタッグを組んで年間十回の学校送迎をする実証研究が始まって、めいは私の送迎の手を離れて学校へ行った。

この春に予定されている医療的ケア児の報酬改定も、今議論が重ねられている医療的ケア児支援法案も、この子達をとりまく環境に大きな変化の時がきているように感じている。医療も制度も環境も、世の中が少しずつ、だけど大きく変わってきている。

 

今日学校が終わった後、めいは養護学校に入学した時にはまだなかった医療的ケア児の通える放課後等デイサービスに行き友達とスタッフさん達と一緒に送迎車に乗って、家で待つ私の元へ帰ってきた。いつものぴかぴかの笑顔で。

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めいは春から中学3年生になる。

節目の15歳、中学3年生は高校生になる準備の年。

養護学校の高等部に進むにあたって、入学選考なるものがあるらしく、それはそう、いわゆる入試。その日は学校看護師さんのケアを受けられないので母親が別室待機して面接とかしちゃうらしい。だって受験やから!

「残念ながら出席日数が足りません」

なんて理由で落とされやしないか、落とされたら一年養護学校にいられる期間がのびるってことでそれはそれでいやむしろラッキーやん!?とかまた先生達と盛り上がる朝の送迎タイムはまだもうしばらく続く。来年度も年間10回のありがたい手助けを得ながら少しずつ少しずつ、きっとまた色んなことが変わっていく。

 

春にはまた新しく変わるクラスで、新しい先生と友達と、めいはどんな一年をすごすのだろう。どんな新しいことが待っているのだろう。

変わっていくものを楽しみに、変わらないものは大切に、春が来るのを楽しみに待っている。