ぼくらはみんな生きていく

医療的ケア児の娘のこと。医療、福祉、母の頭の中のあれこれを書くブログ。

5本指靴下から考える、誰かに助けてもらって生きていくこと

めいが毎日履いてる靴下は5本指。

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冬は冷え対策にこの上にもう一枚分厚い靴下を重ねて、春秋はこれ一枚で、夏も冷房冷え対策に、そして足の指の変形予防に、どれも効果はあるようで、毎朝これをいそいそと履かせている。

 

子供用の5本指靴下はあまり売っていないので履いている子はあまり多くなく、よく声をかけられる。

「かわいい!」

「ちょっと笑えるw」

「いいなぁこれ…!どこで買った?」

とか色々。

「毎朝えらいなぁ」

とも言われる。そう、面倒くさいのだ5本指靴下。

履かせるのも面倒くさいし干すのも面倒くさいし、カラッと乾いて取り込んだ洗濯物の中で5本指靴下の指だけがキュッと縮まったままで湿っているのを見つけた日にはテンションだださがりやし、とにかく面倒臭い。

 

なんでそんな面倒臭いもん履かせてんねんと言われれば、面倒臭さを上回るめいにとってのメリットがたくさんあるから。

足の指の変形がひどくなりはじめた時に履き始めて、少し改善した。爪の形も、よくなった。

冷え対策にも効果があるし、あと、なんといってもかわいい。

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ほらカラフルかわいい。

 

そんなこんなで気に入っている5本指靴下だけど、私ではなく誰かに履かせてもらわなければいけない時には普通の靴下を用意するようにしている。例えば、入院時や。学校のプールの日、訪問入浴後の着替えとか。

自分でも面倒くさいなと思うけど、私はやりたくてやってるのでよしとして、人様にお願いするのもなぁ、と思ってそうしている。

 

とはいえ、ほんとのところ、5本指靴下なんて些細なことで、面倒なこと、大変なことは他にもたくさんある。

そもそもめいとの生活は、「できない」ことで発生するひと手間の積み重ねで、「ひと手間」も積み重なると結構大変なのだ。それももう当たり前になっていて、普段は意識することはほとんどないけれど、ふと、立ち止まってひとつずつ指おり数えていくと…途中で数えるのをもうやめとこ、となる。だって多い。いちいち数えていたらキリがない。

 

「そんなもん」なのだ。仕方がない。あまり悲観的でもない「そんなもん」なのだ。

 

そんな積み重なったひと手間をなんとかすべく、できないかわりに色んな人の貸してもらっていて、その中で何をお願いして、何をお願いすべきでないか、線引きはどこにあるんだろうかと考えることがある。

 

在宅での訪問看護の看護師さんや居宅介護のヘルパーさんなどは来てもらう時間に限りがあって、その限られた時間の中でお願いしていることが多すぎやしないか、はたまたもうひとつ何かお願いできるかな、とか実際に来てもらって話しながらすすめていく。

 

医療的ケアは看護師さんしかできないとか、その中でも気管カニューレは緊急時以外はお医者さんしか入れてはいけないとか、明確なルールがあるものはそれに則って、それ以外、じゃあどうする?

5本指靴下を履かせるのに看護師である必要も医師である必要もないし、プロの5本指靴下履かせ師なんてものも、ないわけで。

 

レスパイト入院の時、荷物に普通の靴下を詰めて、朝うっかりいつものように5本指靴下を履かせていったことがある。

病室で車椅子からベッドに移譲させるとき靴を脱がせて気がついて、ああしまった、持ってきた普通の靴下に変えとこう、とめいの靴下をかえていると看護師さんが、あ、って顔をしたので「ややこしいやつ履かせてきちゃったんで替えときますね」と伝えたら

「すいません〜ありがとうございます助かります」

と言われた。

 

またある時に訪問看護師さんが来る前に済ませておく着替えが、終わっていなかったことがあって、看護師さんが来てからちょっと待ってくださいねーと五本指靴下を履かせていたら「ええよええよ、やっとくで!」と言って代わりに履かせてくれたことがある。

 

場所によって、人によって、その時々の状況によって、出来ることと出来ない事、そして、できる時とできない時がある。

命に関わるから絶対にやらなければならないこと、よりよく暮らすためにできるだけお願いしたいこと、やれる時だけでいいからやってほしいこと、別にやらなくてもいいけどやったら楽しかったりかわいかったりすること、全部まとめてめいの生活だ。

 

誰に何をお願いして何をお願いしないか、まだまだ手探りで、自分の中でもはっきりした線は引けていないけれど、助けてくれるたくさんの人達と話し合いながら、やっていけたらいいなぁと思う。甘え下手な私やけど、甘やかし上手な人達に助けられてちょっとは寄りかかれるようになってきたこの頃。

支援者さん達と、大事な話もしょうもない話もたくさんして、一緒にゲラゲラ笑っていられたら、きっと「そこをなんとか、お願い」も「それはちょっと無理」も、お互いに言い合える関係をつくっていけたら、この先もなんとか大丈夫。